曲投稿「nacht und träume(cover)」&新年のご挨拶

nacht und träume(cover)

昨日SoundCloudにて公開した、シューベルト作曲の「夜と夢(Nacht und Träume)」のカバーです。

これまでにも時々、クリスマスや年末といった名目でカバー曲を公開してきたのですが、2018年の締めはこちらです。

 

元々は歌曲ですので主旋律には歌詞が付いており、ピアノの伴奏をバックに歌唱するというものになっていますが、今回はその主旋律をシンセの音に置き換えてインスト曲にアレンジしています。初めて原曲を聴いた時(実はかなり最近)、一音一音を長く伸ばす箇所が多いのが印象的で、それをパッド的なシンセに置き換えて「歌わせる」ように抑揚をつけるということをしてみたいというアイデアが出てきたので、そこから始めていきました。

 

ですがやはり今回の選曲の決め手は、圧倒的な「冬らしさ」でした。穏やかながら凛とした曲調から冬の澄み切った夜の空気を感じるのはもちろん、原曲の訳を調べてみたところ「聖なる夜」が来てからそれが去ってゆくまでといった情景が描かれており、クリスマスから年末の間の時期にちょうど良いのではないかと思い、12月後半の間はこの曲に取り組ませて頂きました。

 

曲としてはメロディも構成もシンプルで親しみやすいものですが、楽譜をもとに打ち込みをし、自分なりのアレンジを施してみる中で色々なことを学んだり試したりすることができました。アレンジ方針のポイントとなったところを大まかに書いていくとこんな感じです。

 

①主旋律をパッド的なシンセで置き換えて声のような強弱をつけてみる

前述しましたように、本来歌唱する部分である主旋律をシンセに置き換えるにあたり、ボーカロイド等で言うところの「調声」みたいなことをしてみたいというアイデアが取っ掛かりとしてありました(実際には声量にあたる部分しかいじってないのですが)。MIDIコンのツマミでリアルタイムに音量のオートメーションを書いて、気になった部分を色々修正しました。ちなみに、オートメーションを操作してないのに音が勝手に減退したりするとアレなのでシンセの音色自体はサステインをフルにしています。

 

②即興でパッドを色々入れたい

①と並んでやりたかったことの一つです。明るくて爽やかな響きのパッドをいつも光属性のパッドって勝手に呼んでるんですけど(つまり闇属性のパッドもある)、そういうものを付加して冬の澄んだ空気感を演出していますまずは難しいこと考えずここに入れたいと思ったところにパッと録音して、後で挙げる④のようなことを意識して適宜パートを分けたり定位を動かしてあげたり色々します。

 

音色はKORG Legacy CollectionのM1やWavestationのものがほとんどです。ちょうど今回のイメージに合う透明感のある音やコーラスっぽい感触のプリセットが結構揃っていたのであんまり音作りには時間を割いていないです。

 

③原曲のピアノのコード進行(和声進行?)や「刻み」感をそのまま活かす

これらはやはり冬らしく清らかなムードを作り出している要素であり、自分が惹かれた点であるということが明確だったので、カバーする際に欠かすことができないものでした。そのかわり①と共存させるにあたっては、楽器はピアノではなくシンセやエレピに置き換えて使用したい、また左手で弾く低音部はベースとして分離させ別の音色にしたい、というのがありました。ただその音色でそれぞれ原曲通りのパターンを打ち込むと、強拍が目立ちすぎる、音程の上下が激しくて落ち着かない、など求めている雰囲気との違いがいくつか出てきてしまったので、コードに関しては同じものが続く限り同じボイシングで刻み続けるパターン、ベースは白玉で伸ばすフレーズ中心にしました。

 

 

④展開の推進力みたいなものをパッドとベースに担わせたい

上手い表現が思いつかなくて推進力と書いてしまいましたが、緊張と弛緩の取り混ぜ方とか、生理的に心地よいところに落ち着こうとする心理とか、次の展開への期待感みたいな、そういう感じのことを言おうとしています。もちろんそういったものは、こうして色々な音を加えずともすでに原曲のメロディや和声の進行に含まれているものなので、「自分が何か音を足したところで蛇足、よくても説明過多になるだけでは?」などと考えたりもしましたが(特に裏メロ、対旋律的な動きをするとき)、多分こういうのは正しい正しくないとかじゃなくて、気持ち良いか気持ち良くないかの問題だろうなと割り切って、パッドとベースを打ち込む時は曲の流れを追うように、かつ自分にとって一番しっくりくるように配置しました。

 

 

端から見れば大した事はしていないかもしれないですが、頭の普段使ってない部分まで使ったというか、自分の今持っているものを総動員した感じがあり、2018年の総括として個人的には満足のできる仕上がりになったと自負しております。

お気に召しましたら幸いです。


新年のご挨拶

 

改めまして、2019年あけましておめでとうございます。

昨年は新たに発表できた曲数としては少なかったにも関わらず、これまで発表した作品への反響を引き続き頂いたり、企画等へのお誘いを頂く機会が増えたりと、これまで以上のご支援を頂くことができて、皆様への感謝の念が尽きない一年でございました。本当にありがとうございます。

 

今年の予定としましては、まず現在制作中の新譜を上半期にリリースしたいと考えております。3枚目のEPとなるのですが、4曲くらい収録の予定で制作を進めております。今回は具象的なテーマを設けず成り行きに任せる方向なので確かなことは言えないのですが、今までの2枚よりもだいぶ展開がミニマルな感じです。

即売会などへの参加情報等は随時お知らせしていきます。

 

また、昨年は心身の不調から数カ月休職期間を頂くという大きな動きがありましたが、それを経てコンディションをリセットすることができただけでなく、興味関心の分野を広げることができたので、今年は作品づくりに新しい試みを取り入れていきたいです。

 

大きな転換点となったのが、技術系同人イベントの「技術書典」へ一般参加者として足を運んだことでした。自分自身はTwitter経由でイベントの存在を知り興味を持っただけのまったくの非エンジニアで知り合いもいない場でしたが、不思議とアウェーな感じはなく、むしろ初心者ウェルカムな空気があり大変居心地が良かったです。実際「○○入門」系の本は分野問わず多く頒布されていましたし、「文系だけれど初めて○○を作ってみた」といったような趣旨の本を見つけたりすると非常に親近感を覚えました

 

それからしばらくは「こういう場に憧れるけれど自分は何がしたいんだろうか、そもそも作る側になりたいのか受け手として楽しみたいのか」ということを漠然と考えていましたが、ここ最近Processingという言語でのビジュアルプログラミングというものを知り、ピンと来るものがあったので勉強を始めました。

まだ全然作りたいものに技術が追い付いてこないのですが、それでもやってみたいことが沢山思いついて、どうやったらそれを実現できるか考えたり解決方法を調べたりするのが楽しいんです。これまで何度もプログラミングの勉強に挫折してきたんですが、原因は単純なことで、特に作りたいものがなかったからなんですよね。

 

Processingではユーザーのマウス操作などに反応して動くインタラクティブな描画処理を行うことができるのですが、音を扱うこともできるので、たとえば下の動画のように入力音に対しフーリエ変換を行って映像を生成するプログラムを書くことなどもできます(制作中の曲ちょい出し)。

でも自分が今後どこ方面へ向かっていくのかはまだまだ分かりません。DTMに関してもつい5年くらい前は一人ロックバンドがやりたいとしか思っていなかったのでいつの間にかエレクトロニカの人になってしまったことに驚きますし、そこに至るまで何年も迷走したのと同じような道のりがそこにもあるのだろうと思います。

 

…というわけで長くなりましたが、どうぞ本年もpolar pluto productionをよろしくお願いいたします。